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インボイス制度の最新情報:運用上の注意点と対応のポイント

2026年10月28日

1. 適格請求書発行における実務上の留意点

適格請求書(インボイス)の発行にあたっては、Webサイトを利用した情報の補完や、交付に伴う手数料の徴収など、実務上の柔軟な対応が認められています。

  • インターネット公表による記載事項の補完 交付する領収書等にURLを記載し、Webサイト上で「名称」「登録番号」「適用税率」などの不足する記載事項を確認できる状態にしておけば、書面とWebサイトの情報を合わせて適格請求書の要件を満たすものとして認められます。買手側は当該Webサイトの情報を電磁的記録等で保存する必要がありますが、売手側が保存期間満了まで随時確認可能な状態で提供を継続している場合、買手側でのダウンロード保存は必須ではありません。
  • 適格請求書の交付に伴う金銭的負担 電子データでの交付を基本としている事業者が、書面での交付を求める相手方に対して、印刷代等の実費相当分の手数料を求めることは、社会通念上相当な範囲であれば直ちに問題とはなりません。ただし、優越的地位の濫用となるような高額な請求は独占禁止法上の問題となる恐れがあります。なお、この手数料も「課税資産の譲渡等の対価」に該当します。
  • レシート再発行の義務 販売時に適格簡易請求書(レシート)をすでに交付している場合、後日改めて再発行を求められても、売手側に再交付の義務は生じません。一度も交付していない場合に限り、手書き等で対応する必要があります。

2. 任意組合等の取引と適格請求書の交付要件

任意組合やジョイントベンチャー(JV)、製作委員会などがインボイスを交付するためには、事前に「組合員全員が登録事業者である旨の届出」を行う必要があります。

  • 事前届出と運用上のルール 任意組合等が取引相手に対してインボイスを交付し、相手方が仕入税額控除を受けられるようにするためには、事前に「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」を税務署長へ提出しなければなりません。原則として組合員全員が登録事業者である必要がありますが、日本で課税資産の譲渡等を行わず、損益の配賦も受けない組合員は届出の対象外とすることが可能です。
  • 交付ができなくなるケース インボイス発行事業者でない組合員が新たに加入した場合や、既存の組合員が登録を取りやめた場合は、その日以後の取引についてインボイスの交付ができなくなります。この場合、業務執行組合員は速やかに「任意組合等の組合員が適格請求書発行事業者でなくなった旨等の届出書」を提出しなければなりません。
  • 帳簿記載の特例 任意組合の共同事業として仕入れを行った際、構成員(組合員)は自らの帳簿に「幹事会社の名称」および「幹事会社を経由した取引である旨」を記載することで差し支えありません。ただし、適格請求書発行事業者とそれ以外の事業者からの仕入れは、区別して記載する必要があります。

3. インボイス関連の特例措置と経過措置の更新

制度の円滑な運用のために、免税事業者等からの仕入れに係る経過措置の変更や、特定の事業者を対象とした納税額の特例が設けられています。

  • 免税事業者等からの仕入税額控除の経過措置 免税事業者等からの仕入れに対する仕入税額控除の経過措置は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までは80%控除が可能です。それ以降は2年ごとに70%、50%、30%と段階的に割合が縮小されます。この適用割合は「課税仕入れの時期」で判断され、役務提供は完了日、商品仕入れは引渡し日が基準となります。
  • 経過措置における1億円制限の導入 令和8年10月1日以後の課税期間から、一のインボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れ合計額(税込)が、年間または事業年度で1億円を超える場合、その超過分については控除が認められなくなります(改正前の10億円から引き下げ)。
  • 3割特例(令和9年分・令和10年分) インボイス発行事業者の登録によって免税事業者から課税事業者となった個人事業者を対象に、納付税額を売上税額の3割とすることができる特例です。基準期間(適用を受ける年の2年前)の課税売上高が1,000万円以下であることが適用要件となります。
  • 特定金属くず特例の創設 令和8年9月1日以後の課税仕入れから、特定金属くず買受業の届出事業者が、適格請求書発行事業者以外の者から特定金属くずを買い受ける場合、一定の事項を記載した帳簿を保存することで仕入税額控除が認められます。帳簿には「特定金属くず特例の対象となる旨」や「相手方の住所または所在地」の記載が必要です。
  • 現金主義特例適用者の取扱い 現金主義の特例を適用する個人事業者が、費用を支出した課税期間にインボイスを受領できなかった場合でも、事後に交付されるインボイスを保存することを条件に、支出した日の属する課税期間で仕入税額控除を受けることができます。

4. プラットフォーム課税とデジタル取引の対応

令和7年4月1日以降、国外事業者が行う特定の取引について、プラットフォーム事業者がインボイスを交付する仕組みが導入されます。

国外事業者がデジタルプラットフォームを介して行う消費者向け電気通信利用役務の提供のうち、特定プラットフォーム事業者を介して対価が収受される取引については、当該特定プラットフォーム事業者が適格請求書を交付することになります。

また、登録を取りやめた事業者が再度登録を受ける場合には、新たに登録申請書の提出が必要となります。再登録日以後2年を経過する日の属する課税期間までは、基準期間の課税売上高にかかわらず免税事業者となることはできません。

5. インボイス制度対応への支援策(補助金)

中小企業や小規模事業者がインボイス制度に対応するためのIT導入や設備投資を支援する補助金制度が用意されています。

  • デジタル化・AI導入補助金(インボイス枠)
    • 会計・受発注・決済ソフト:50万円までは補助率4/5または3/4、50万円から350万円までは補助率2/3が適用されます。
    • PC・タブレット:補助上限10万円、補助率1/2。
    • レジ・券売機:補助上限20万円、補助率1/2。
  • 小規模事業者持続化補助金 インボイス発行事業者への転換に伴う販路開拓費用等を補助するもので、補助率は2/3です。通常の上限は50万円ですが、インボイス特例(+50万円)や賃金引上げ特例(+150万円)を組み合わせることで、最大250万円まで引き上げられます。

各都道府県の「よろず支援拠点」や地域の商工会・商工会議所、青色申告会などでも経営や帳簿作成に関する相談を受け付けています。

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