事前相談・ご意見を送る ▷
ホーム › コラム › 納税が困難な中小企業へ。国税の「猶予制度」申請の要件とメリット

納税が困難な中小企業へ。国税の「猶予制度」申請の要件とメリット

2026年10月23日

昨今の経済情勢の変化などの影響により、国税を一時に納付することが困難な場合には、税務署に申請することで納税の猶予が認められる制度があります。主な制度として「申請による換価の猶予」と「個別の事情による納税の猶予」の2種類が設けられています。

1. 経済情勢の影響で納税が困難な場合の「換価の猶予」とは

国税徴収法第151条の2に基づく「申請による換価の猶予」は、国税を一時に納付することで事業の継続や生活の維持を困難にするおそれがある場合に、申請によって納税を猶予する制度です。本制度を利用するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 事業・生活への影響: 国税を一時に納付することにより、事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがあると認められること。
  • 誠実な意思: 納税について誠実な意思を有すると認められること。
  • 滞納状況: 猶予を受けようとする国税以外の国税に滞納がないこと。
  • 申請期限: 納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されていること。

原則として猶予金額に相当する担保が必要ですが、担保提供により事業の継続等に著しい支障を来すおそれがある場合は不要です。なお、既に滞納がある場合や納期限から6か月を超えている場合でも、税務署長の職権による換価の猶予(国税徴収法第151条)が受けられる場合があります。

2. 個別の事情に応じた納税の猶予制度の仕組み

国税通則法第46条に基づき、災害や事業の損失などの個別の事情がある場合には、それぞれの状況に応じた金額について納税の猶予が認められます。この制度は、既に滞納がある場合でも申請が可能です。具体的には、以下のようなケースが対象となります。

  • 事業の休廃業: 事業を廃止し、または休止した場合。休廃業に関して生じた損失や費用に相当する金額が猶予の対象です。
  • 事業における著しい損失: 事業に著しい損失を受けた場合。受けた損失額の一部に相当する金額が猶予の対象となります。
  • 売上の著しい減少: 市場の悪化や親会社からの発注減少などにより、売上の著しい減少を受けた場合。減少した売上に見合う売上総利益に相当する金額が猶予の対象です。

本制度においても、原則として猶予金額に相当する担保が必要ですが、事業継続に支障を来す場合は不要とされています。

3. 猶予が認められた場合に受けられるメリット

いずれの猶予制度においても、税務署の審査を経て認められた場合には、主に以下の3つのメリットがあります。

  • 納税期間の猶予: 原則として1年以内の期間に限り納税が猶予されます。状況により、当初の猶予期間と合わせて最長2年まで延長が認められる場合があります。
  • 延滞税の軽減: 猶予が認められている期間中の延滞税が軽減されます。
  • 差押えや換価の猶予: 財産の差押えや、既に差し押さえられている財産の換価(売却)が猶予されます。

4. 手続きの流れと相談窓口

納税の猶予制度を利用するためには、所轄の税務署(徴収担当)へ相談し、所定の審査を受ける必要があります。

手続きに必要な資料は、個々のケースによって異なるため、まずは電話で所轄の税務署へ相談することが推奨されています。納税が困難な状況にある場合は、早めに相談窓口へ連絡してください。(令和7年4月時点)

事前相談・ご意見を送る ▷

事前相談・ご意見を送る ▷